ときどき月刊ミニてんとうむし畑たより11月号
桃の花、アンズの花、アガパンサス、サツキの花、百合…。何のことだと思いますか?
答えはこの一週間で見かけた季節外れの花です。どれも春・夏の花。そして、ここ数日で金木犀が満開となり、むせかえる様ないい香りが庭に満杯になっています。この香りも約1ヶ月ほど遅れて訪れてくれたのです。今年はもう金木犀は咲かないのかと、あきらめていましたが、楽しみは遅れてやって来ました。
でも、どうしたことでしょうね。…思いあたる節は、この夏からの異常気象にあります。私たちの様に自然の中で暮らしていると気付くかと思いますが、この数ヶ月は例年と大きく違う天候に不安を感じます。
これが今年だけのことなら、いいのですが。
−命を継ぐ−
そんなおかしな天候つづきの今年も残すところあと2ヶ月。早いですね。11月7日は立冬ですよ。
そうそう、この前、地元の小学校へ給食の野菜を届けにいくと「読書週間」のポスターが廊下の壁に貼られていました。11月に入る、この1週間は読書週間。
大人になった今は、なんだか新鮮な言葉にも聞こえます。最近、本読んでないなあ…みなさんどうですか?
「趣味は何ですか?」と聞かれると、「その一つは読書です」と答えるほどに私も読書好きです。
異常気象に対応したり、書類提出期にせまったり、なかなかゆっくり読書できない現状です。
そんな中ですが、少し前に読んだ本の中に、多くの人に読んでもらいたい本の一つに「生きものの死にざま」というのがあります。
哺乳類、魚類、名もない虫たちにいたるまで、その死にざまはいつも子供を守ること、生むことに命をかけた結果です。オーガニックとは?長年問いつづけて、土つくりと野菜栽培と実践して来ましたが、その答の一つに「命を継ぐ」があります。この本は、まさにそのことが書かれています。
この本に登場する「生きもの」は動物ばかりなのですが、毎日野菜という植物と共に、暮らしていると、動物も植物も同じだと思います。
そう、野菜もまた命を継ぐために生きているのです。
畑では、ようやくサツマイモの収穫がおわり、ニンジンの収穫がはじまりました。
甘くて美味しいサツマイモもニンジンも、何も人間に食べてもらうために甘くて丸々太っているのではありません。例えば、にんじん、秋から冬にかけて葉っぱで光合成した糖分を根っこ(私たちがいつも食べるオレンジの部分)に蓄えているのは、翌春にたくさんの花を咲かせて種をつけ、子孫を残すためのエネルギーなのです。例えば、真っ赤に熟れたトマト。あの美味しそうな赤い色は獣に種ごと食べてもらって、子孫を広い範囲に拡散させるためなのです。
(トマトからしたら、人間に食べてもらうなら、種ごと食べてもらい、ウンチはトイレに流すのでなく、あちこちにバラまいてほしいのですよ。)
そして、野菜が持っているビタミンも同様、種がくさらぬ様、酸化から守るため、子孫を守るために作っているのを、人間が頂いているのです。
だからこそ、動物にも植物にも、頂く命として、感謝ですね。
「植物は人間が思っているより、ずっーと能動的で知能的である」というのは、私の持論ですが、オーガニックの意味の一つ「命を継ぐ」ということでいえば、野菜をはじめ、植物のほうが人間よりずっーと勝っているのかもしれませんね。
今日も命に感謝。自然に感謝。