スタッフコラム(井上)

みなさん、こんにちは!井上健吾です。唐突ですが、2月末で、てんとうむしばたけを離れることになりました。移住してから5年間、初めての農業をやりながらカフェができたり、メンバーが増えたり、色々な経験をさせてもらいました。寂しさはありますが、一昨年生まれた子どもとの時間や自分らしい生活を実現するために、離れることを決意しました。なので、今回は最後のお手紙として、僕自身が経験した5年間で感じた「自然とつながる」ということについて書かせていただきます。

移住前、僕はIT企業で働いていました。よくある都会で忙しくサラリーマンみたいなイメージです。一年目には働きすぎてうつ病にもなり、3ヶ月ほど給食も経験しました。当時の食生活は荒れており、3食すべてコンビニorファストフード。仕事の忙しさ、上司からのプレッシャー荒れた食生活と、ストレスにまみれた結果、眠れなくなる、上手く喋れなくなる、といった症状が出ていました。給食後もその会社に復帰し、働くことになったのですが、うつ病になって依頼、仕事に意欲を持てず、何年か過ごしていました。

そして2017年の1月に移住をして、てんとうむしばたけでの生活が始まります。自席もなければ、パソコンもなく、作業場に朝集まってから、畑へ向かい野菜を収穫するところから1日がスタート。

朝日を浴びながら野山の空気を感じ、野菜や土に触れ、新鮮な野菜をたまに口にして、仲間と楽しく会話をしながらの収穫です。

作業場に戻ってからは野菜を洗ったり、パック詰めをします。時には珍しい形や色の野菜が出てきて皆で面白がったり、休憩タイムにお茶をしながら、ハナ(柴犬)と遊んだり、お昼は家でごはんを食べて昼寝。午後からは畑に出て、種まきや野菜のお世話に汗を流します。日暮れと共に、仕事を終えて帰路につき、おいしいごはんを食べてぐっすり眠り、また次の日を迎える。そんな生活を送っていました。

1年ほど経った頃からでしょうか。体力も筋力もついてきて、身体が生き生きしてきた感覚がありました。農作業終わりは疲れて家に帰るのが当たり前だったのが、友達の家に遊びに行ったり、イベントに参加したり、とにかく元気になりました。笑

都会にいた頃は、漠然とした不安やストレスで心がサワついていたのも、今は落ち着いたなと。お手紙を書いているこの瞬間も、家の外では雪の降る凛とした空気が僕の周りで流れています。気持ちの落ち着きと共に集中力や思考力もました感覚もあり、企画や経営に関わる仕事ができるようになったり、友人から肌ツヤが良くなったと言われたり、小さな変化がたくさん生まれていました。

「自然とつながる」とはどういうことなのでしょうか?

野菜を食べる、土に触れる、農業をする、ここ数年色々と考えをめぐらせてきました。その中で僕は「自然の摂理に従う」ということなんじゃないかな?と今は思っています。

少し言い換えると「自然の流れに逆らわずに生きる」ということ。有機農業は春夏秋冬で育ってる野菜もやることも変わります。当たり前ですが、夏には夏野菜を冬には冬野菜を育てるし、それに応じた作業や生活があります。今年のように雪の多い年は味噌の仕込みにちょうどよく、いい味噌が来年には食べれそうです。

農業に当てはめた季節の流れだけでなく、普段の生活でも晴れた日に気分が良くなったり、雨の日に落ち込んだり。早起きして外を散歩している時間が心地よかったり、夜遅くまで働く時間がしんどかったり。1日の中にも自然の流れが存在しています。上向くこともあれば下降することも。いわゆるバイオリズムというものが、自然界にはもちろん僕らの身の回りも大小たくさん存在していて、それらに逆らわず生きる、ということが大切だと、学びました。それが「自然とつながる」ということなんじゃないかと農場での経験を通じて感じています。

今回、てんとうむしばたけを離れると決断したことも、子育てしたい気持ち、農場で僕ができることの限界を感じた気持ち、新しいことに取り組みたい気持ち、色々な想いが作った流れに逆らわずに決めたことです。

僕の決断は個人的ですが、自然のながれを意識することは、世の中の色々なことに通じると感じています。仕事で一緒に働くメンバーの調子が悪い日もあれば、良い日もあって、変化していく流れに合わせながら仕事を進めていくとうまくいったり。高校時代は仲の良かった友人と大学生になってから会わなくなったのに、30代になって再会したら意気投合して一緒に仕事をすることになったり。

流れを感じ続けるには、農業でいえば自然の些細な変化に気づくこと、自分のことであればやりたいことや本音と向き合うこと。そしてそれが自然の流れに合っているのか、反しているのか、上向いているタイミングなのか。下降しているのか、考えてみる。最後はわからなくなって、身を任せちゃったりするんですが。笑

そんなことを感じながら生活していたら、僕はめっちゃ元気になりました。もちろんその中心には、農場での生活とお野菜がありました。離れることに寂しさはありますが、僕らの住む丹後では同世代が地域を活気づけようとする流れがあります。僕は僕自身が得た経験をその流れに乗せて生きていこうと決めました。なので、丹後には引き続き居りますし、農場近くでの生活は変わりありません。

てんとうむしばたけも、僕自身が学んだ様な「自然とつながる」ということをお野菜であったり、カフェやツアーでみなさんにお届けし続けていきます。僕は離れますが「自然とつながる」きっかけを作る、てんとうむしばたけをこれからもよろしくお願いします。

僕が働き始めたら5年前から、今までお野菜を食べ続けてくださったり、農場へ遊びに来てくれたり、マルシェでお会いできたり、みなさんにはたくさんお世話になりました!!直接お会いできた方は限られていますが、お野菜を通じて、つながれていたいと思いますし、それがあったからこそ、僕も農場で頑張ることができ、成長することができました。5年間支えてくださり、本当にありがとうございました。いつか丹後でお会いできる日を楽しみにしています。それでは、また。2022/2/28 井上 健吾