月刊てんとうむし畑たより(2024年1月号)
年明け早々、能登では大地震、そして羽田空港での大事故など、大変なことが立て続けにありました。大変な日々を乗り越えねばならない方々には、心よりお見舞い申し上げます。
さて、元旦の日に、玄関横のロウバイの木が黄色の花を咲かせました。高貴な香りを漂わせて、お正月らしい雰囲気です。京丹後では、雪景色の正月があたりまえだったのですが、今年も全く雪のない、おだやかで、あたたかい日々です。生活には、とても楽で過ごしやすいのです。野菜の収穫も楽に行え、南部の雪が降らない地域はこんなにもいつも楽に収穫できるのか!とため息が出てしまいます。冬は良しとしても、夏の暑さは大変でした。
「地球温暖化の時代は終わり、これからは、地球沸騰化の時代に入る」
と国連で非常宣言が出されましたよね。農業の分野においても、これからますます、有機農業の重要性が高まってゆくことでしょう。
ー子供がかわれば未来はかわるー
12月、農協の方と電話していた時、こんな会話になりました。「大阪の豊中に住んでいる娘から電話があってね、子供の通う保育園に、てんとうむし畑のサツマイモが給食にでたよって。私の孫なんだけどね。とっても美味しかったよって言ってたって!」とっても嬉しい話です。
そこの保育園は、有機野菜を使ったメニューや食育にも力を入れており、子供たちに調理前の丸々の野菜や魚、肉などを見せているそうです。ここ数年、京阪神の都会の保育園が有機農産物を使った給食に取り組むことが急増しており、野菜の注文もかなり増えてきています。
これからも増えていくことでしょうし、オーガニックがあたりまえの食事と育った子供が増え、その子供たちが大人になった時、大きな社会の変化がおきることだと思いませんか?
保育園だけではありません。学校でも、今までとは違う変化が起きています。
毎年、地元の小学校3年生が畑見学に来ます。刈草や落葉を山積みにして、土が出来てゆく現場を見せて、ありとあらゆる命は土を通じて巡りまわっていることを説明すると、興味深く聞いてくれます。中には、興奮して「循環だ!」って言う子供もいます。「SDGsだ」って声も出てきます。
また、職場体験に来た、中学2年生からは、「御社は地球環境に対して、どの様な取り組みをされていますか?」と緊張して質問がありました。その質問は先生が考えたのかな?と思い聞いてみると、中学生がグループみんなで考えた質問でした。食品ロスや畑で放置される規格外の野菜を活用することを、テーマに取材に来た高校生グループもあります。加工品を作る構想から、自分たちで行い、実際に製品として発表したり、独身の先生の健康のために調理も行なっていました。
龍谷大学政策学部の学生約20名が有機農産物の拡大にどんな政策が必要なのかをテーマに1日来訪もありました。他にも、京都市内の多くの大学生が、有機農業のこと、地球温暖化のことについて、調査や聞き取りに来ています。その時に私がいつも伝えていることは「問題解決のために、大きなことを考えて行動するのも大切だが、大変だよ。まず、自分たちの暮らし方を見直すことなら、簡単にできるよ。無駄な電気を消すこと、包装の少ない買い物をすること、加工品を買うときは裏を見て、添加物のないものを選ぶこと。毎日でなくても、週に1回は自分で食事を作ること…。そんな暮らし方を友人にも伝えて、増やしてゆけば、きっと問題は解決にむかうよ。」
「SDGsのこと、一つ一つの課題を各々で解決しようとしても、かならず別の壁にあたる。全ての課題は循環させることを考えると答えの糸口が見えてくるよ。」
今、保育園や学校では、人ごとでなく、自分たちの問題として、学んだり、体験したり、考えたり、行動をとっています。この子供たちが10年後、20年後になり、社会を作り上げる立場になったとき、大きな変化がおこることだと思います。その時では、もう手遅れだとならない様に、私たち大人が、今ちゃんとしておかねばならない、そう思いませんか。
《昨年の面白ニュース「丹海バスに野菜が乗ったよ!!」》
11月19日、京丹後市内の全ての小中学校で100%地元食材メニューの「まるごと京丹後食育の日」各学校に生産者が食材を届けて子供たちといっしょに給食を食べるのですが、宇川小学校だけは、遠く離れており、配達ができません。そこで、路線バスの丹海バスで運べないか、話にいったところ快諾。その日、清新高校前バス停で経ヶ岬行きのバスの座席に宇川小学校の食材が座りました。30分ほどかけてバスは宇川小前へ。待っていた調理員さんが無事受け取りました。もちろん、運賃200円払いましたよ。