月刊ミニてんとうむし畑たより1月号
あけまして おめでとうございます。
玄関の横に毎年咲く、ロウバイの花が、今年はいままでになく、たくさんの黄色い花を付け、とても良い香りを放っています。一年の内、もっとも寒いこの時季に、これほどまでに見事に咲く姿は神々しくも感じさせてくれます。
ー「食と心」ー
私たち農家が中心となって毎年おこなっている「まるごと京丹後 食育の日」の取り組みについて今回は書きたいと思います。
京丹後市の小・中学校の給食に、”私たち地元の生産する農産物・水産物を100%たべてもらいたい。”そんな思いで11年前に農家7名で「学校給食委員会」を立ち上げました。
当初20%もなかった地産地消率が、この11年の取り組みで多い月で80%、平均でも60%になるようになりました。メンバーも、入れ替わりがありますが、京丹後市農業振興課、教育委員会…魚屋、流通業者をも巻き込んで、今では、15名を超える規模で活動しています。
この11年の取り組みで、単に、地産地消の数字が上がっただけではありません。一番大きな成果は、子供たちに地域に対する誇りを生み、郷土愛を育んできたことではないでしょうか。
農業を仕事として、志望する子供や栄養士を目指す、食に関する仕事で、地元で働きたい、住みたいと思う子供たちが確実にふえてきているのです。そして、高校を卒業して進学のために都会へ出た子供たちが、就職や結婚、子育て等をきっかけに京丹後へ帰ってくる様になってきたのです。
この事実から「子供が変われば未来はかわる」ということを実感するようになってきました。
さて、私たちの取組の中で最も大きなイベントが毎年11月に実施する「まるごと京丹後 食育の日」です。
地元産100%のメニューに加えて、交流給食(生産者等・給食に関わる人が、学校で子供たちといっしょに給食を食べます)食育出前授業(生産者が4時間目に米づくり、やさいつくり、食の大切さを子供たちに講話します)を行います。
コロナのため、令和2年につづいて、令和3年もこの交流給食と食育出前授業は残念ながら中止となりました。子供たちの心に大きなインパクトを与える「交流給食・食育出前授業」の中止の代りになるものをなんとかしたい。委員会のメンバーみんなで考えました。
令和2年11月には生産者から子供たちへの思いを伝えるビデオレターを作成して見てもらいました。
そして、令和3年11月も動画を作成しました。みんなが食べる給食は、生産者や流通業者、調理員さんたち大勢の人たちの力の集結でとっても美味しく出来あがるということを知ってもらう内容です。
この動画、前年同様に子供たちの心にしっかりと届いたと思います。
令和3年11月にはもう一つ、大きな取組を行いました。
今まで悩みもありました。それは、高校生になると、学校給食が無く、せっかく育んだ誇りや郷土愛も継続が難しくなるということです。
幸いにも、京丹後市内には、農業関連の学科を持つ高校が二校あります。そこで、この二校(丹後緑風高校・清新高校)に話を持ちかけ、高校生が給食用に野菜を育てて、届けてもらう、という取組を行いました。
農業科の高校生にとっては、「食べる人の顔を見ながら野菜を育てる」といういままでにはない取組みになった様です。弟や妹が食べるのかもしれません。部活の後輩かもしれません。自分たちが今まで食べてきた給食食材のことをより具体的に知る体験になったと思います。もちろん高校生にも動画に出演してもらいました。恥ずかしそうにも楽しく語っていました。
この高校の取組みも、すぐに効果が表れるものではないかと思いますが、続けることによって、さらに地域の誇り、郷土愛が深まり、農業を目指す若者が増えることに期待を寄せています。
私たちの理念は、「オーガニックを通じてすべての人々に健康と幸せを届けること」です。この学校給食の取組みを通じて「食は健康と幸せを生む」だけでなく、心も育てるんだと強く思うようになりました。
農業とは「食べる人の健康と命を預かる責任重大な仕事」と考えてきました。さらに、「食べる人の心をつくる仕事」として、これからも、スタッフ一同、心をこめて食の仕事に取り組んでゆきたいと思っております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和2年11月の動画 ⬇︎
令和3年11月の動画 ⬇︎