月刊てんとうむしばたけ便り(第112号)

6月、夏野菜たち、そして野や山の植物がぐんと成長する候です。

家から畑へ行くいつもの道の脇に、今年も白いホタルブクロの花が咲いていました。そうそう、夜になればホタルの飛ぶころ、夕食のあとに散歩へ行ってみるといました。

緑色の光が、数えてみると五つ、六つ、ふわりと飛んでいます。蛍光窓雪は、大げさだけど、昔は百を超える数のホタルの光がみれたのですが、最近はずいぶん減ってきました。

20年ほど前には、近くの旅館からバスで見物に来たくらいでした。

梅雨もいいもんだ!」

6月21日は夏至。一年でもっとも昼の長い1日。いつもなら、梅雨に入り、雨やくもりがつづくのですが、今年はまだ晴れの日がつづいています。どこの地域も梅雨入りがおくれているようですね。

田植えをおえた稲や、夏野菜たちにとって、この梅雨の雨は、とっても大切なのですが…。気温も夏らしくなり、雨をうけて急に成長します。

また土の中、奥深くまでたっぷりと雨がしみることで、深くまで根を伸ばして梅雨明け後の暑い真夏を乗り切ることができるのです。

雨にも、いろんな雨がありますよね。野菜にとっては、強い雨より、しとしとやさしく降る雨が好き。強い雨は葉っぱをたたきつけるし、土の表面を流します。しとしと雨は葉にやさしく、ゆっくりと土にしみてゆきます。

梅雨の雨のもうひとついいことは、じめーとした湿気。えっ、カビが生えたり、いいことあるの?ですよね。でもこの湿気のおかげで野菜に害虫の被害が減るのですよ。

この時期、蛾の幼虫、とくにヨトウ蛾の幼虫、いわゆるイモ虫が葉っぱをむしゃむしゃと食べることがあります。このヨトウ蛾、漢字で書くと、夜盗蛾とかきます。夜の間に葉っぱを食べ尽くしてしまうほどの大食い。卵からかえったときは、小さいのですが、脱皮をくりかえして5センチほどに成長して、サナギになります。またバッタも脱皮をくりかえし成長しながら葉っぱをたくさん食べます。

虫たちにとって、この脱皮が一番の弱点。脱皮した直後は体がやわらかく、傷つきやすい。早く乾かせて硬い体にしたいところ。だけど、梅雨のじめじめ湿気だと、なかなか体が乾いてくれない…。そんな時にカビに侵されて、病気になり、死んでしまうことがよくあるのです。反対に天気が良く、カラリとしていると、虫たちは一番の弱点をすぐにのりこえて、大きく成長します。ね、うっとおしい梅雨の時期も、いいことあるでしょう!

今年は6月に入っても、ずっと晴れつづき。太陽の光をたっぷり受けて、夏野菜たち、とっても元気なのですが、葉っぱの裏にひそんでいるイモ虫たち、ニヤリと笑って元気なようです!

いつもの年だと、梅雨の終わり頃になると、野菜の葉っぱに白くカビでおおわれて死んでいるイモ虫をみつけることができます。この白いカビイモ虫を乾かして、冷凍庫で保存しておきます。野菜にイモ虫がたくさん出て困った時に活躍するのですよ。白いカビイモ虫をすりつぶして、水に溶かして霧状に散布すると、野菜を食べるイモ虫がしばらくすると、白いカビにやられてしまうのです。ちょっとおそろしい、バイオテロ。

先日のお便りにものごとには、全て陽と陰があると書きました。うっとおしい梅雨にもいいことたくさん。ホタルやアジサイもきれいだし!梅雨ならではの楽しみ、ぜひ見つけてね!

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<お知らせ>

6/28,29京都市内のみやこめっせで、オーガニックライフスタイルエキスポ!京丹後市が出展します。

28日11:00~シンポジウムのパネラーとして、私も出席の予定。入場はHPからの事前登録で無料です。

紫の花は「雨に唄えば」