スタッフコラム(伊藤)

こんにちは!スタッフの伊藤律です。
今回も前回に引き続きため池で、僕が見たものについて書きたいと思います。
あれは、僕がため池に行き始めてから約3ヶ月程たった7月のある晴れた朝のことでした。

僕が左側には山、右側にため池という道を歩いていると、一瞬むっとした匂いが鼻を掠め、「もしかしたら、近くに獣がいるかもしれない」と感じ、地面を見ると、半日以内についたであろう鹿の足跡が残っていました。
そして、さらに歩いていくと、左側の山と僕が歩いている道の50メートル程先にある山の谷間が、僕の左側に広がっており、左側の山の斜面の1番下の部分、つまり谷間と斜面がぶつかるところに、鹿が木の枝の葉っぱを首を伸ばして食べていました。

また、僕は、鹿に気づいたのですが、鹿は僕に気づいておらず、僕はその場からじっと動かずに鹿を見ていました。すると、鹿が枝についた葉を食べるのを終えて、視界を遮るもののない場所に出てきました。僕との距離が約20メートルの間合いで鹿が僕に気付き、首筋をピンと伸ばし、体全身を硬直させ、今すぐにでも逃げれる体勢に入り、目を見開いてじっと僕のことを見つめてきました。

僕はそこで、「目があったら、ロックオンされたと思って鹿が逃げてしまう」と思い、鹿の顔の周りを見るようにしました。すると、普段鹿と遭遇した時は、0.5秒程で逃げてしまうのが、5秒6秒7秒と持ち堪えることができ、10秒程が経過しようとした時に、僕は「もしかしたらこの鹿と友達になれるかもしれない」と思い、腰を少し回転させ、上半身を鹿の方に少し向けた瞬間、「キュウィーン」という鳴き声とともに鹿が逃げ出しました。すると、山にいる鹿という鹿が低く短い唸り声で応え、僕は「こんなに山に鹿が住んでいるのか」と本当に驚きました。