月刊てんとうむしばたけ便り(第109号)

3月に入り、寒さが戻って雪が降ったりもしましたが、中旬になり、ようやく暖かな日がつづくようになりました。玄関横の桃の花も咲き出し、畑ではウグイスの声や、ヒバリの高鳴きも聞くことできます。いつもなら、まだ山頂に雪の残る金剛童子山も2月にはすでに全く雪が消えてしまい、どんな早い春になるかと思いましたが、例年どおりの春の訪れです。

そう、春が来たということは、畑がにぎやか楽し忙し!万願寺、ピーマン、トマト、ナスなど夏野菜たちのたねまき、じゃがいもの種芋植え…!

ーやさいをつくらず、土をつくる!その2ー

(先月号のつづき)

24年前に有機野菜に切り替えたころ、改めて土というものを考えてみました。それまで、耕してきた目の前の畑はというと、元は花崗岩の山を削って造成された開拓畑。真砂土といって、水はけは良いが固く締まりやすく、有機物はほぼゼロ。三十年ほど前の写真を見ると、これから家がたくさん建つ造成団地に見えます。そんな畑でも、土壌分析して、(分析したところ、何もかもが不足でしたが)必要な化学肥料や土壌改良剤を入れて、野菜を出荷していました。で、こういう害虫が出るから殺虫剤、こんな病気には殺菌剤、しっかり(基準通り)に農薬を散布しておけば、ちゃんと野菜ができたのです。こんな土でも!!

では、これからはどうすればいい?どこへ行っても、言われたことが、「農薬を使わない」でなく「使わなくていい育て方」でした。

「健康な人は病院も薬も不要、健康の秘訣は食事と運動」人も野菜も同じことなんですよね。野菜も正しい食事と運動していれば、健康に育つのです。そのためには、良い土が大切なんです。

大学の土壌学で学んだ土とは、「自然界の有機物と母岩から成る有機物の複合体。良い土とは、有機物の割合の高さと、無機物の種類による。」目の前の畑は、開拓畑ですから、無機物は豊富にあります。

なので、とことん有機物をたっぷり入れよう、すぐ行動しました。地元の牛を飼育している農家の牛糞堆肥だけでは足りないので、綾部市や兵庫県からも運んでもらい、土つくりに力を入れました。そして、耕してタネをまくと、スクスクと野菜が育ったのです。ところが、収穫どきになると、次々と病気になる。とれた野菜も美味しくない…。なぜだろう?考えてみると、自然界には、そんな牛糞堆肥がたくさん集まるほど、牛が密集して住んでいないのですよ。

ちょうど、自然放牧の牛飼いの方の話を聞く機会がありました。自然放牧だと、牛一頭につき最低でも1haの森が必要だとのことでした。そういえば、雉の家族は5haの森、タヌキの家族は3haの森、タカやワシなどの猛禽類は数百ha必要だそうです。植物と動物の割合なんて、考えもしなかったのですが、自然の摂理には、この割合が大切なんだと気付きました。

畑のまわりは見渡す限り、森、そう、植物。じゃあ、土作りの有機物も植物をメインにすればいい。さっそくやってみよう。ちょうど、河川敷の草刈りをする時期だったので、刈草を軽トラックに積んで畑へせっせと山積みしてゆきます。近所の方も、刈草を持って来てくれたり、そのうち、業者の方も、声を掛けてくれて、大量に刈草が集まる様になりました。

ところが、そこに待ったを掛けたのが、法律。河川敷の刈草はなんと、産業廃棄物らしく、それを畑にもってゆくと、産業処理違反になるんだって!長いややこしい行政判断で、今では、そんなことありませんが、当時はじゃあ、トラック1台の刈草を100円で買い取る、という有価物としてOKにしてもらったのです。法律ってほんとややこしい、いったい何のためにあるんだってね。こうして、植物のみで土を作りだすと、たくさんの驚きと発見が次々と出てくるのです。(つづきは、また来月号でね)

桃の花が咲き出しました!